第17章 助動詞の用法
have、hadはそのあとに過去分詞・不定詞を伴って、完了時制や他の助動詞の代用をしたり、使役・受動なども表します。
- 「have + 過去分詞」= 完了形(→「完了時制」)
- 「have + toつき不定詞」(=must)
必要・義務を表し、とくに過去・未来・完了の諸時制や仮定法ではmustの代わりに用いられます。
We have to〔must〕consider all the possibilities.
(我々はあらゆる可能性を考慮に入れるべきだ)
He had to raise money by mortgaging his land.
(彼は自分の土地を抵当に金を調達しなければならなかった)
We shall〔will〕have to set up a budget for research and development costs.
(研究開発費の予算を組まなければならないだろう)
[注]口語ではhave toのかわりにhave got toも用いられます。
I have got to (=must) attend the committee meeting this evening.
(今晩の委員会の会合には出席しなければならない) - 「don’t have + toつき不定詞」(=need not)
have toの否定形で、「need not + 原形不定詞」と同様に「~するにはおよばない」と消極的な「不必要」を表します。
なお、強い禁止を表すときにはmust not(「~してはいけない」)を用います。
You don’t have to (=need not) go to the office today.
(きょうは出勤する必要はない)
You must not go to the office today.
(きょうは出勤してはならない) - 「have + 目的語〔物〕+ 過去分詞」
この形は、1 「~させる」の意味で使役を表す場合と、2 「~される」の意味で受動を表す場合とがあります。
なお、1 2 ともに目的語は「物」を表す語が用いられます。
We are having some samples shipped from Japan.
(日本から見本を送らせようと思っている)〔使役〕 I had my pocket picked in a crowded train.
(私は満員列車の中で財布をすられた)〔受動〕 - 「have + 目的語〔人〕+ 原形不定詞または現在分詞」
これも 1 「~させる」 2 「~される」 の意味を表しますが、目的語は「人」を表す語が用いられます。
I’ll have one of our guides show you around the factory.
(案内係のだれかに工場を案内させましょう)〔使役〕 I don’t like to have others order me about.
(私は他人に使いたてられたくはない)〔受動〕 - 「had better + 原形不定詞」
「~したほうがよい」の意味で、忠告や勧誘を表す言い方です。ただし、語調が強く、目上の人には用いないほうがよいとされています。
口語ではしばしばYou hadはYou’dと短縮形をとり、発音も〔jud〕とごく軽く、時にはhadが省略されることもあります。
You’d better do as the doctor says and stay in bed.
(医者の言うことを聞いて寝ていたほうがいいよ)
You’d better not think about it. (そのことは考えないほうがいいよ)
Hadn’t we better wait here a little longer?
(私たちはもう少しここで待っていた方がよくはありませんか)
[注]betterのかわりにbestを用いて、「~するのが一番いい」の意味を表すこともできます。
You had best consent to undertake the work.
(その仕事を引き受けることにするのが一番いい)