好評連載コラム 実務翻訳のススメ

17-2 have、had

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第17章 助動詞の用法

have、hadはそのあとに過去分詞・不定詞を伴って、完了時制や他の助動詞の代用をしたり、使役・受動なども表します。

  1. 「have + 過去分詞」= 完了形(→「完了時制」)
  2. 「have + toつき不定詞」(=must)
    必要・義務を表し、とくに過去・未来・完了の諸時制や仮定法ではmustの代わりに用いられます。
    We have to〔must〕consider all the possibilities.
    (我々はあらゆる可能性を考慮に入れるべきだ)
    He had to raise money by mortgaging his land.
    (彼は自分の土地を抵当に金を調達しなければならなかった)
    We shall〔will〕have to set up a budget for research and development costs.
    (研究開発費の予算を組まなければならないだろう)
    [注]口語ではhave toのかわりにhave got toも用いられます。
    I have got to (=must) attend the committee meeting this evening.
    (今晩の委員会の会合には出席しなければならない)
  3. 「don’t have + toつき不定詞」(=need not)
    have toの否定形で、「need not + 原形不定詞」と同様に「~するにはおよばない」と消極的な「不必要」を表します。
    なお、強い禁止を表すときにはmust not(「~してはいけない」)を用います。
    You don’t have to (=need not) go to the office today.
    (きょうは出勤する必要はない)
    You must not go to the office today.
    (きょうは出勤してはならない)
  4. 「have + 目的語〔物〕+ 過去分詞」
    この形は、1 「~させる」の意味で使役を表す場合と、2 「~される」の意味で受動を表す場合とがあります。
    なお、1 2 ともに目的語は「物」を表す語が用いられます。
    We are having some samples shipped from Japan.
    (日本から見本を送らせようと思っている)
    〔使役〕
    had my pocket picked in a crowded train.
    (私は満員列車の中で財布をすられた)
    〔受動〕
  5. 「have + 目的語〔人〕+ 原形不定詞または現在分詞」
    これも 1 「~させる」 2 「~される」 の意味を表しますが、目的語は「人」を表す語が用いられます。
    I’ll have one of our guides show you around the factory.
    (案内係のだれかに工場を案内させましょう)
    〔使役〕
    I don’t like to have others order me about.
    (私は他人に使いたてられたくはない)
    〔受動〕
  6. 「had better + 原形不定詞」
    「~したほうがよい」の意味で、忠告や勧誘を表す言い方です。ただし、語調が強く、目上の人には用いないほうがよいとされています。
    口語ではしばしばYou hadはYou’dと短縮形をとり、発音も〔jud〕とごく軽く、時にはhadが省略されることもあります。
    You’d better do as the doctor says and stay in bed.
    (医者の言うことを聞いて寝ていたほうがいいよ)
    You’d better not think about it. (そのことは考えないほうがいいよ)
    Hadn’t we better wait here a little longer?
    (私たちはもう少しここで待っていた方がよくはありませんか)
    [注]betterのかわりにbestを用いて、「~するのが一番いい」の意味を表すこともできます。
    You had best consent to undertake the work.
    (その仕事を引き受けることにするのが一番いい)