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18-1 toつき不定詞の用法(Ⅰ)

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第18章 不定詞の用法

toつき不定詞は、「to + 動詞の原形」(否定形は「not to + 動詞の原形」)の形で表され、ふつう名詞的、形容詞的、副詞的の3つの用法があります。

18-1-1 名詞的用法
不定詞の名詞的用法とは、不定詞が「~すること」の意味で名詞のような働きをすることを言います。したがって、名詞の場合と同様に次のように文中で主語、目的語、補語の3つの働きをします。

  1. 主語として
    To use a Japanese word processor / is difficult.
    (日本語のワープロを使うことはむずかしい)
    To have a sense of social responsibility / is necessary for corporations.
    (社会的責任感を持つことが企業には必要である)
    上の例文で、To use、To haveはいずれも主部の先頭に立って主語の働きをしています。ただ主部が長く、文全体としてやや不安定な感じは否めません。
    これを避けるため、ふつう形式主語としてのitを先頭に置き、不定詞以下の主部を後にまわす、いわゆる「It~(for-) to ・・・」の構文がよく用いられます。
    To use a Japanese word processor is difficult.
    It is difficult to use a Japanese word processor.
    To have a sense of social responsibility is necessary for corporations.
    It is necessary for corporations to have a sense of social responsibility.
  2. 目的語として
    The barometer began to fall slowly. (気圧計は徐々に下降しはじめた)
    We hope to improve bilateral relations with the United States.
    (我々は米国との相互関係の好転を希望している)
    [注]不定詞がmake、find、thinkなどの不完全他動詞の目的語となる場合、不定詞のかわりに形式目的語としてのitを動詞の次におき、不定詞(句)を補語のあとに置くのがふつうです。
    Soaring land costs will make it impossible for salaried workers to buy their own houses.
    (地価の高騰によってサラリーマンの持ち家購入は不可能になるだろう)
    We found it very important to regularly discuss relations between the Japanese and overseas branches of the company.
    ( 日本の(国内)支店と海外支店との関連を定期的に討議することはきわめて重要だとわかった)
    I thought it undesirable to tell them the truth.
    (私は彼らに本当のことを話すのは望ましくないと考えた)
  3. 補語として
    To think is to act. (考えることは実行することだ - 考えたらやることだ)
    The most important thing when a major earthquake occurs is not to push the panic button.
    (大地震が起きた時一番重要なことはパニックに陥らないことだ)
    Our chief purpose has been to break the deadlock in the business negotiations.
    (我々の主目的は商談の行き詰まりを打開することであった)
    [注]上の例文では、不定詞はいずれも「~することで(ある)」という意味を表し、be動詞の補語(主格補語)の働きをしています。

18-1-2 形容詞的用法
不定詞は名詞または名詞相当語句の後について、「~するための・・・」「~するような・・・」の意味で修飾語の働きもします。これが不定詞の形容詞的用法です。

  1. 修飾される語が不定詞の意味上の主語となる場合
    We want a staff assistant to perform secretarial duties for the president.
    (=We want a staff assistant who will perform secretarial duties for the president.)
    (我々には社長の秘書業務を行ってくれる補佐役が必要である)
    He was always the first to come and the last to leave the office.
    (彼はいつも真っ先に出社し、最後に退社した)
  2. 修飾される語が不定詞の意味上の目的語となる場合
    I have a lot of work to do this week.
    (私には今週なすべき仕事がたくさんある)
    Is there anything good to eat in the refrigerator?
    (冷蔵庫に何か食べてよいものはありませんか)
    [注]不定詞の動詞が他動詞の場合、受動態で表すこともできますが(例:work to do → work to be done)、一般には能動態のほうが好まれます。ただし、文中にcanの意味が含まれている場合は受動態を用います。
    There was not a house to be seen except a little log cabin.
    (小さな掘立て小屋以外、家は一軒も見あたらなかった)
  3. 不定詞が修飾される語の内容を補足的に説明する場合
    I would welcome the opportunity to explain
    (=of explaining)what I can offer to your company.
    ( 貴社のために私がどのようにお役に立てるか説明できる機会を与えてくだされば幸いです)
    In America there is still a persistent movement to restrict imports from Japan.
    (アメリカにはいまなお日本からの輸入品を制限しようという根強い運動がある)
  4. 不定詞の次に前置詞を必要とする場合
    上記(2)に関連して不定詞の動詞が自動詞の時はその次に前置詞を添えます。
    We have an important subject to deal with at once.
    (我々には直ちに処理すべき重要な問題がある)
    I have elderly parents to look after.
    (私には面倒をみるべき老いた両親がいる)
    たとえば、他動詞drink(飲む)の場合、「水を飲む」はto drink water、「飲む(べき)水」はwater to drinkで問題はありません。しかしlive(住む)という自動詞は、「家に住む」はto live in a houseでliveのあとに場所を表す前置詞inが必要で、to live a houseにはなりません。したがって、「住む(べき)家」もa house to live inまたは関係代名詞を入れてa house in which to liveとしなければなりません。これに類した例ではさらにa chair to sit on(すわるいす)、a pen to write with(書くペン)、things to talk about(話し合う事柄)、money to buy food with(食料を買う金)などがあります。

18-1-3 副詞的用法

不定詞は、ふつうの副詞と同じように、動詞・形容詞・副詞を修飾するほか、文〔節〕全体を修飾し、目的・結果・原因・理由・条件・程度・譲歩などを表します。これを不定詞の副詞的用法といいます。

  1. 動詞の修飾語として
    1. 目的:「~するために」「~するように」
      I have always done my best to satisfy my clients.
      (私は自分の顧客の要望を満たすため常に全力を尽してきた)
      The government lowered the tax rates to strengthen the international competitiveness of Japanese companies.
      (政府は日本企業の国際競争力を強化するために税率を下げた)
      [注]目的の意味を一層はっきりさせるためにin orderやso asを不定詞の前につけ加えることがあります。
      He works hard in order to keep his family in comfort
      (彼は家族が安楽に暮らせるよう仕事に励んでいる)
      Please slow down so as not to cause an accident.
      (事故をおこさないようスピードを落としてください)
    2. (b)結果:「(・・・して)~になる」
      Few people live to be one hundred years old.
      (100歳まで生きる人は数少ない)
      He grew up to be a doctor specializing in pediatric care.
      (彼は成人して小児科専門医になった)
      [注]結果を表す不定詞は動詞live、work、grow upや副詞only、neverなどとともによく用いられます。
      The synthetic fiber industry came into the limelight around 1960 only to decline later due to competition from developing countries.
      ( 1960年頃合成繊維産業が脚光を浴びたが、やがて発展途上国からの競争に押され衰退した)
      During the war they parted, never to see each other again.
      (戦時中彼らは別れたが、二度と会うことはなかった)
  2. 形容詞の修飾語として
    形容詞または形容詞相当語句のあとに置いて、判断の理由、条件、感情の原因などを表します。
    This scheme is difficult to put into practice.
    (=It is difficult to put this scheme into practice.)
    (この計画は実行に移すのがむずかしい)
    That old machine is not safe to touch. (あの古い機械は触れるとあぶない)
    I am happy〔glad、delighted〕to make your acquaintance.
    (お知り合いになれてうれしく思います)
    [注]「be + 形容詞 + to不定詞」の形で、慣用句としてよく用いられるものに次のようなものが挙げられます。
    be anxious〔eager、impatient〕to~(~したがっている)
    be apt〔liable、likely〕to~(~しやすい、~しそうだ)
    be ready〔prepared、willing〕to~(いつでも、喜んで~する)
    be sure to~(きっと~する)など。
  3. 副詞の修飾語として
    とくに程度を表す副詞too、enoughなどを後から修飾し、「too・・・to~」(~するには・・・すぎる、あまりに・・・なので~できない)、「・・・enough to~」(~するに足りるほど・・・、十分に・・・なので~できる)の形でよく用いられます。
    なお、この「too〔enough〕+ 不定詞」は「so・・・that + 主語 + cannot〔can〕~」の形に言い換えることもできます。
    The month-end is too busy for me to join the party.
    (=The month-end is so busy (for me) that I cannot join the party.)
    (月末はとても忙しくてパーティには参加できません)
    You are young and healthy enough to get a new job.
    (=You are so young and healthy that you can get a new job.)
    (あなたはとても若くて健康だから新しい仕事は見つけられる)
  4. 文〔節〕の修飾語として
    不定詞は感嘆文・疑問文あるいは推定や断定を表す平叙文の後に置いて、その理由や原因、条件などを表すことができます。
    What a lucky man you are / to get a position as a director!
    (重役の口を見つけるとは、きみは何と幸せ者なのだろう)
    How have you managed / to tolerate such a hard job for such a small salary?
    (安月給でそんなにこき使われて黙っているとは、一体どうしたことかね)
    He must be very rich / to buy all that land.
    (あの土地をすっかり買い占めたとは、彼は大変な金持ちに違いない)