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19-1 形容詞的用法




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第19章 分詞の用法

分詞には現在分詞、過去分詞の2種があり、現在分詞は動詞の原形に-ingをつけ、過去分詞は規則動詞では「原形+(e)d」、不規則動詞ではそれぞれ特有の形があることはすでに学びました。
分詞はbe動詞と結合して進行形・受動態を、haveと結合して完了形をつくるほか、形容詞あるいは補語として用いられるのが普通ですが、時には名詞や副詞に似た働きをすることもあります。

19-1 形容詞的用法

分詞は動詞の性質を残しながら形容詞と同じように、名詞の前後に置いてそれを限定・修飾する働きをします。

  1. 名詞の前に置く場合(単独修飾)
    1. 現在分詞
      ふつう自動詞の場合は進行・継続を表し、「~している」と訳すことが多く、他動詞の場合は能動的な意味で「~させる」と訳してみることもできます。
      a walking dictionary (生き字引き)
      a going concern (営業中の会社〔企業〕)
      an exciting match (手に汗をにぎるような試合)
      astonishing events (おどろくべき出来事)
      A slow-moving truck was blocking traffic on the hill.
      (徐行中のトラックが坂道の交通を妨害していた)
      Many of Japan’s small industries were hard hit by the higher yen and intensifying competition from developing countries.
      ( 日本の中小企業の多くは、円高と発展途上国との激しい競争で大きな打撃を受けた)
    2. 過去分詞
      ふつう自動詞の場合は完了・状態を表し、「~した」と訳し、他動詞の場合は受動的な意味で、「~させられた」と訳してみるとよいでしょう。
      自動詞:
      the retired life(隠退生活)、 the fallen trees(倒木)、
      grown-up children(成長した子供たち)
      It is said that seven-and-a-half workers support one aged person in Japan now.
      (いま日本では1人の老人を7.5人の労働者が支えているという)
      他動詞:
      a reserved seat(予約席)、 the paid-up capital(払込済資本金)、ready-made articles(できあいの品物)
      Many people enjoyed the first crossing of the newly-built bridge.
      (多くの人が新しくできた橋の渡り初めを楽しんだ)
  2. 名詞の後に置く場合(集団修飾)
    分詞が単独ではなく、補語・目的語・修飾語(句)などの付属語を伴うときは、ふつう修飾する名詞のあとに置かれます。なお、この場合、分詞に導かれる句は関係節で言い換えることもできます。

    $$
    \begin{cases}
    \text{a man printing (=who is printing) something in his office〔現在分詞〕} \\
    \text{(事務所で何か印刷している男)} \\
    \text{a calendar printed(=which was printed)in colors〔過去分詞〕} \\
    \text{(色刷りのカレンダー)}
    \end{cases}
    $$ $$
    \begin{cases}
    \text{the lady speaking(=who is speaking)to him 〔現在分詞〕} \\
    \text{(彼に話かけている婦人)} \\
    \text{the language spoken(=which is spoken)in Indonesia〔過去分詞〕 } \\
    \text{(インドネシアで話される原語)}
    \end{cases}
    $$

    We had dinner at a restaurant overlooking San Francisco Bay.
    (私たちはサンフランシスコ湾を見下ろすレストランで食事をした)
    In California there are many large farms owned by Japanese-Americans.
    (カリフォルニアには日系アメリカ人が所有する大農場が数多くある)
    [注1]名詞の前に置かれた分詞には、純然たる形容詞に転化したとみられるものもかなりあります。分詞がふつう「一時的な動作・状態」を表すのに対し、これら形容詞化したものは「永続的な性状」を表すことが多く、veryやmuchを伴うこともできます。
    $$
    \begin{cases}
    \text{a living creature(生き物)〔形容詞〕} \\
    \text{people living in town (都会に住む人々)〔分詞〕} \\
    \end{cases}
    $$ $$
    \begin{cases}
    \text{a written application (申込書・申請書)〔形容詞〕} \\
    \text{a letter written in English (英語で書かれた手紙)〔分詞〕} \\
    \end{cases}
    $$

    なお、過去分詞が形容詞として用いられる場合、特別な形をとったり、形は同じでも発音が変わるものもあります。
    drunken driving(酒酔い運転)(cf. drink - drank - drunk)
    sunken rocks(暗礁)(cf. sink - sank - sunk)
    a learned〔l※発音記号:rnid〕man(学者、博学の人)
    (cf. He has learned〔l※発音記号:rnd〕many words. -彼は多くの言葉を覚えた)。
    [注2]名詞の語尾に-(e)dをつけて、「~を持った」、「~の特性をもつ」の意味を表す形容詞として用いられるものもあります。これは一見、分詞に似ているので疑似分詞とも呼ばれています。

    A kind-hearted (<heart)person (親切な人)
    a three legged (<leg)stool (三脚いす)
    a warm-blooded (<blood)animal (温血動物)