第18章 不定詞の用法
toのつかない不定詞を原形不定詞と言い、文字通り動詞の原形だけで表します。原形不定詞にもいくつか用法がありますが、主語や目的語にはなりません。
- 助動詞のあとで
do、did、can、could、will、would、mustその他、助動詞のあとについて動詞として用いられます(「助動詞」の項参照)。
We must always obey city speed limits.
(市街地の制限速度はつねに順守しなければならない) - 知覚動詞の目的格補語として
see、hear、watch、look at、listen to、feel、find、notice、observe、perceiveなどの知覚動詞の目的格補語として用いられ、「知覚動詞 + 目的語 + 原形不定詞」の形で、「・・・が~する(事実)のを見る〔聞く・・・〕」の意味を表します。
They saw a robot perform welding functions.
(彼らはロボットが溶接の仕事をするのを見た)
Nobody ever heard him speak Russian.
(だれひとり彼がロシア語を話すのを聞いたことはない)
People felt the earth shake under their feet.
(人々は足もとで地面が揺れ動くのを感じた)
[注]この構文が受動態になると、従来は文のリズムの関係でtoつき不定詞に変えましたが、最近ではむしろこれを現在分詞に変える傾向が強くなっています。たとえば、
They saw a robot perform welding functions.
→ A robot was seen performing〔まれにto perform〕welding functions. - 使役動詞の目的格補語として
let、make、have、bid(文語的)などの使役動詞の目的格補語として用いられ、「使役動詞 + 人を表す目的語 + 原形不定詞」の形で、「・・・に~させる」の意味を表します。
He made〔let〕one of his men go there for him.
(彼は自分の代わりに部下のひとりをそこに行かせた)
I’ll have my secretary go with you.
(秘書に同行させましょう)
He bade me〔to〕enter the room.
(彼は私にその部屋に入れと命じた)
[注1]この構文が受動態になるとtoつき不定詞を用います。
ただし、let、haveの場合は、ふつうそれをbe allowed(「許される」)に変え、そのあとにtoつき不定詞を続けます。
One of his men was made〔allowed〕to go there for him.
[注2]getを使役動詞として用いるときはtoつき不定詞を伴います。
Won’t you get your friend to help you?
(=Won’t you have your friend help you?)
(友人に頼んで助けてもらったらどうですか)
[注3]help(助ける)は使役動詞ではありませんが、この構文に合わせて用いることができます。helpのあとに原形不定詞を用いるのはアメリカだけでなくイギリスでもこの傾向にあると言われます。
We ought to help developing nations (to) be self-sufficient.
(我々は発展途上国が自給〔自足〕できるよう援助すべきである)
ただし、このhelpも受動態の文になるとtoつき不定詞が用いられます。
I was helped to fasten my seat belt by the stewardess.
(スチュワーデスに座席ベルトを締めるのを手伝ってもらった) - 慣用語句の中で
以上のほか、原形不定詞はhad better〔best〕~(~したほうが〔するのが一番〕よい)、do nothing but~(~してばかりいる)などの慣用句の中でよく用いられます。
You had better review the contract in detail.
(あなたは契約書を細部にわたって再検討したほうがよい)
I did nothing but write the report from morning to night.
(私は一日中報告書を書いてばかりいた)