第23章 受動態の意味と用法
受動態の文において、動作主をとくに明らかにする必要がない場合にはby~を省略することは前に述べましたが、動詞によってはby以外の前置詞がしばしば慣用的に用いられます。これは動作主というよりは、手段・材料や原因・理由などを表すことが多く、副詞的な要素が強いと言ってよいでしょう。
$$
\begin{cases}
\text{He was threatened by the robber. (彼は強盗におどされた―行為者)} \\
\text{He was threatened with a knife. (彼はナイフでおどされた―道具)} \\
\end{cases}
$$
The cloth is woven of the finest silk by experienced weavers with〔on〕hand looms in China.
(この布地は、中国で〔場所〕、熟練した織工が〔動作主〕、最良質の生糸を用い〔材料〕、手ばたで〔道具〕織ったものである)
- 一般例
He is known to everybody as the richest person in town.
(彼は町一番の金持ちとしてみんなに知られている)
〔比較〕A man is known by the company he keeps.
(人はその交わる友をみればわかるものだ - ことわざ)
A newspaper is made of paper.
(新聞は紙で作られる - 材料〔原状・原質が残っている〕)
Paper is made from wood, rags, and other things.
(紙は木材やぼろ、その他のもので作られる - 原料〔変質〕)
He was taken ill from eating too much.
(彼は食べすぎがもとで病気になった)
The picture was painted in oils.
(その絵は油絵具で描かれていた)
He is engaged in the study of computers.
(彼はコンピュータの研究に従事している)
The exchange rates are listed daily in the newspaper.
(為替相場は毎日、新聞に載っている)
All the goods in the warehouse were covered with dust.
(倉庫の中の品物はみんなほこりにまみれていた) - とくに感情を表す動詞の例
I was surprised at his rudeness. (彼の無作法にはおどろいた)
He was delighted at the very idea of having a vacation.
(彼は休暇がとれると思っただけでうれしくなった)
She is very interested in the traditional arts of Japan.
(彼女は日本の伝統芸能に大変関心がある)
He is absorbed in extending his business connections.
(彼は得意先を広めることに夢中になっている)
We were very pleased with our new car.
(私たちは新しい車がとても気に入った)
Are you satisfied with your position?
(あなたは自分の地位に満足していますか)
【注】日本語では「おどろく」「よろこぶ」「関心がある」「熱中する」「満足する」のように能動表現をとるのに対し、英語では上の例のように受動表現をとるのが普通です。