好評連載コラム 実務翻訳のススメ

17-5 can、could

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第17章 助動詞の用法

can、couldは一般に能力・可能性・許可などを表します。couldはcanの過去形ですが、直説法と仮定法に用いられます。

  1. 「can + 原形動詞」
    1. 能力・可能性:「~できる」
      Can he speak both English and French?” “Well, he can speak English fluently, but he can’t speak French very well.”
      ( 「彼は英語とフランス語が話せるのですか」「そうですね、英語はペラペラですが、フランス語はそれほどでもありませんね」)
      [注]この意味のcan、cannotの未来形と完了形にはbe able to、be unable to (=not able to) を代用します。
      He will be able to succeed wherever he goes.
      (彼はどこに行っても成功することができるだろう)
      He has been unable to get a good job because of his poor health.
      (彼は体が弱くて、今までよい職につくことができなかった)
    2. 許可:「~してよい」(口語)
      mayのかわりにcanを用いて「許可」を表すことができます。ただしこれはくだけた口語体の場合で、それ以外はさけたほうがよいとも言われています。なおこの用法で許可を求めるにはCan I~? を、不許可にはNo, you can’t. を用います。
      You can go on holiday as soon as you like.
      (好きな時にはいつでも休暇をとっていいですよ)
      Can I speak to you a moment? (ちょっとお話してもよいでしょうか)
    3. 否定的推定・強い疑惑
      否定文・疑問文において、「~のはずがない」「よもや~だろうか」と否定的な推定や強い疑念を表します。
      なお、過去の事柄に対して否定的推定を述べる場合には「can (not) have + 過去分詞」の形を用います。
      Can it be true?” “No, it cannot be true.”
      (「一体それは本当だろうか」「いや、本当であるはずはない」)
      I cannot have spoken ill of him; it must have been somebody else who said it.
      ( 私が彼のことを悪く言ったはずはない。言ったのはだれかほかの人にちがいない)
  2. 「could + 原形動詞」
    1. 直説法において - 過去の能力「~できた」
      Could you do it yourself?” “I’m sorry, I couldn’t.”
      (「自分でやったのですか」「残念ながらできませんでした」)
    2. 過去の間接話法において
      should、wouldと同様に、間接話法において主節の動詞が過去のときは、時制の一致の原則により、canのかわりにcouldを用います。
      なお「時制の一致」と「話法」の詳細は、第26、27章で説明します。
      He said that he could not work together with us on the new designs.
      (=He said, “I cannot work together with us on the new designs.”)
      (彼は新しい設計作業には協力できないと言った)
    3. 仮定法の構文において
      現在・過去の能力に反したことを仮想する場合で、現在では「could + 原形動詞」、過去では「could have + 過去分詞」の形を用います。
      If I could (=were able to) do it, I would〔should〕be so happy.
      (今私にできることがあればとてもうれしいのですが)
      If I had sold the shares〔stocks〕last week, I could have realized
      (=should have been able to realize) a good profit.
      (先週持株を売り払っていたら、大もうけができただろうに)
    4. 独立文において ―― ていねいな表現
      canのかわりにcouldを用いると、より丁重な要求やさらに強い疑惑、あるいは一層控え目な可能性を表すことができます。
      Could you kindly spare me a few minutes?
      (2・3分時間をさいていただけませんか)
      Please could I have your address and telephone number?
      (恐れいりますが住所と電話番号をおしえて頂けませんか)
      Could it be true? (それはほんとうでしょうか)
      I could not act as chairman. (私には議長などはとてもつとまりません)