第13章 比較
比較級は2つのものを比較する場合に用いられ、ふつうそのあとに接続詞のthanを伴います。
- 比較級+than - 最も基本的な形
Your company is larger than ours.
(おたくの会社は私どもの〔会社〕よりも大きい)
This machine runs more quietly than the old one.
(この機械はその古いのよりも静かに動く)
【注意1】than以下の節においては、比較の対象になるその節の主語または副詞(句・節)だけを1残し、それ以外の語句は多くの場合省略されます。
No one can book orders from customers better than Roy (can book orders from customers).
(ロイほどうまく得意先から注文のとれる者はいない)
We are now living a more comfortable life than (we did) before.
(いま我々は以前よりは快適な暮しをしている)
He is in better health now than (he was) when he was staying with us.
(彼は私たちのところにいたときより今は健康だ)
【注意2】文脈上、比較の対象が明らかな場合は、接続詞than以下を全部省略することもあります。
This car is easy to drive, but that one is much easier (than this car is).
(この車は運転しやすい、でもあちらの方がずっと乗りやすい)
Nothing could be further from the truth (than that).
(それほど真実から遠いものはない - 全くの偽りだ)
【注意3】形容詞の中で、superior(まさった)、inferior(劣った)、senior(年上の)、junior(年下の)、major(大きい方の)、minor(小さい方の)、prior(前の)のように-orで終わるラテン語系の比較級は、そのあとにthanではなくtoを用います。
She is two years senior to me (=older than I〔me〕).
(彼女は私よりも2歳年上だ)
It is superior in speed to any other machine.
(それは速度の点では他のどんな車よりもまさっている)
なお、動詞のprefer(~の方を好む)もthanではなくtoを用います。
I prefer death to dishono(u)r.(=I like death better than dishonor(u)r.)
(恥辱を受けるよりはむしろ死んだ方がよい) - 比較級の修飾語
「副詞」の項でも少し触れましたが、比較級をさらに修飾したり、強調したりする副詞には、much、far、still、a littleなどがあります。ただし、veryは比較級には用いられません。
The Asian market is much more active than the European one.
(アジアの市場はヨーロッパの市場よりもはるかに活発である)
This is far better than that. (これはあれよりずっとよい)
You have a right to your property, and still more to your life.
(人には財産の権利がある、まして生命の権利はなおさらだ)
Your apartment has a little less space than ours.
(おたくのアパートは私たちのより若干スペースが少ない)
上記の修飾語のほか、数量などを表す語句を比較級の前に置くこともできます。
How many years older is he than you?
(彼はあなたより何歳年上なのですか)
This company has considerably〔slightly〕more capital than the other two.
(この会社は他の2社より資本金がかなり〔わずかに〕多い)
A is three times heavier than B.
(AはBよりも3倍重い = A is three times as heavy as B.)
Japanese work four hours longer than Americans per week.
(日本人はアメリカ人より週当たり4時間長く働いている)
Profits were 50% higher than last year. (利益は昨年より50%高となった)
Our company sold 1,000 more kilos of tea this month than last month.
(今月当社は先月より1,000キロ多く茶を販売した)
【注意】
比較級を用いないで、倍数あるいは倍数を表す動詞・名詞を用いて比較差を表す言い方もあります。たとえば
「1970年から1980年までに石油生産高が2倍に増加した」という場合
動 詞: The output of oil doubled between 1970 and 1980. 形容詞: There was a twofold increase in oil production between 1970 and 1980. 副 詞: The production of oil rose twofold during the 1970s. 名 詞: There was a doubling of oil production during the 1970s. - 比較級+and+比較級
同じ比較級をandで繰り返すことによって、「だんだん~」「いよいよ~」と程度の増加を表すことができます。動詞にはget、become、growなどが多く用いられます。
As time went on, things got worse and worse.
(時の経過とともに事態はますます悪化した)
International relationships became more and more strained.
(国際関係がだんだん緊迫してきた)
His heartbeat was growing weaker and weaker.
(彼の心臓の鼓動はしだいに弱くなってきた) - 絶対比較級
比較の対象はあっても比較の意味が弱く、あるいは比較の対象を特に示さず、ただばく然と程度の高低を表しているにすぎない比較級を絶対比較級といいます。
絶対比較級は、比較の程度によって、the、a〔an〕をつけるもの、無冠詞のものがあります。
the higher classes(上層階級)、 a better-class hotel(高級ホテル)
higher education(高等教育)
This magazine is very popular with the young(er) generation.
(この雑誌は若い世代の人たちに非常にうけている) - the+比較級
- そのあとにof the twoを伴う場合
二者選択の場合には、「the+比較級」が用いられることがあります。ただし、口語ではその場合でもしばしば最上級が用いられます。
Iron and copper are metals. Iron is the more useful of the two.
(鉄と銅は金属である。両者のうち鉄の方が銅より利用度が高い)
Here are two roads. I wonder which is the shortest.
(ここに道がふたつある。どちらが近道だろうか) - the+比較級~、the+比較級・・
「~すればするほど・・・」「~すればそれだけますます・・・」の意味で、あることの程度が変化すれば、それに応じて他のことの程度もそれだけ変化することを表す言い方です。
この構文ではふつう前の節が従属節で、あとの節が主節の働きをしますが、形式や語順が変わると節が逆になる場合があります。
$$
\begin{cases}
\text{The older he grew,the more obstinate he became. } \\
\text{He became (the)more obstinate,the older he grew.} \\
\text{(彼は年をとるにつれて、ますます頑固になった)}
\end{cases}
$$ $$
\begin{cases}
\text{The more we suspect others,the more they will suspect us.)} \\
\text{Others will suspect us (the) more,the more we suspect them. )} \\
\text{(人を疑えば疑うほど、人は我々を疑うようになるだろう)}
\end{cases}
$$ - (c)the+比較級+理由を示す句(節)「~なのでますます・・・」
これは上の(b)の従属節がbecause、for、as、since、on account ofなどに導かれる句〔節〕に変わって、ある原因や理由、条件により程度の度合が変化したことを示す言い方です。
We respect him all the better〔all the more〕for his diligence.
(我々は彼が勤勉であるからこそますます彼を尊敬する)
I do not love him (the) less because he has faults.
(彼に欠点があるからといって彼への愛が減ずるわけではない)
- そのあとにof the twoを伴う場合