好評連載コラム 実務翻訳のススメ

9-2 none

noneは「誰も〔何も〕~ない」と否定を表す語で、代名詞のほか副詞(まれに形容詞)としても用いられます。

  1. 「だれも~ない」(no persons)の意味で、独立して用いられる場合 ―― 口語体では複数扱い
    I asked many passers-by for assistance, but none were (=no one was) willing to help.(多くの通行人に助けを求めたが、誰も進んで助けてくれようとする人はいなかった)
    単数の意味には、no oneまたはnobodyが多く用いられます。
    No oneNobodyis permitted to enter this room.
    (だれもこの部屋に入ることは許されません)
  2. 名詞の反復をさけるoneの否定形として用いられる場合
    人にも物にも用いられ、人の場合は複数扱い、物の場合は単数扱いとなります。
    Were there many people?” ―― “No, there were none (=no people).”
    (「大勢いましたか」 ―― 「いいえ、ひとりもいませんでした」)
    Is there any beer left?” ―― “No, there is none (=no beer) left.”
    (「ビールは残っていますか」 ―― 「いいえ、全くありません」)
  3. “none of~” の形で「~のいずれも・・・ない」の意味として。この場合は複数扱いで、人にも物にも用いられます。
    None of us know the answer.
    (我々のうちだれもその答えは知らない)
    I read some books on the subject but none of them were helpful.
    (関係書を何冊か読んだが、どれも役に立たなかった)
  4. 「the+比較級」またはtooとともに用いて、「少しも~ない」(=not at all)の意味を表す場合
    He is none the wiser for his knowledge. (彼は知識があっても賢くはない)
    The pay is none too high. (給料は決して高すぎはしない)