好評連載コラム 実務翻訳のススメ

9-1 one

不定代名詞とは、特定のものを指さず、漠然と不定の人や事物、数量などを表す代名詞で、これには、one、none〔n※発音記号n〕、some、any、other、another、each、every、both、all、either、neitherのほか、複合語として、someone、anyone、no one、everyone、somebody、anybody、nobody、everybody、something、anything、nothing、everythingなどがあります。
これら不定代名詞のうち、every country(どの国もみな)のように、次に名詞を伴って形容詞の働きをするものもあります。
また逆に、数量形容詞のmany、much、(a) few、(a) little、several、enoughなどが不定代名詞として用いられることもありますが、詳しくは「11-1(2) 数量形容詞」の項を参照して下さい。

oneはもともと数詞のone(1つ)から出ているもので、「一般の人」を指す場合と前出の名詞の代用として用いられる場合があります。

  1. we、you、theyのように「一般の人」をさす場合
    One wants to have a house of one’s own to live in.
    (人は誰しも自分自身の住む家を持ちたがるものだ)
    One must think of others and put oneself in their place.
    (人は他人のことを考え、その立場に立ってみなければならない)
    上例のように、oneをうける語はone’s、oneselfになりますが、口語ではむしろhis、himselfあるいは最近ではこの代わりにtheir、themselvesを用いることが多く、とくにsomeone、anyone、no one、everyoneなどはそうした傾向が強いようです。
    Someone has left histheir〕key on the table.
    (だれかが鍵をテーブルに置いて行った)
    No one could write histheir〕own address in English.
    (ひとりとして自分の住所を英語で書けるものはいなかった)
    Everyone thinks histheir〕house to be histheir〕castle.
    (だれでも自分の家は城だと思っている)
  2. 前出の名詞の代用として用いられる場合
    1. 修飾語を伴わない場合(=a+単数普通名詞)
      If you need a car, we can lend you one (=a car).
      (車がお入用でしたらお貸しできますが)
      They say she is a good driver, but I don’t think her one (=a good driver).
      (彼女は運転がうまいと言われているが、私はそうとは思わない)
      【注意】これは、不特定の数えられる名詞の代わりに用いられるもので、もし前に話題にのぼったものそのもの、つまり特定のものをさして言うときにはitを用いなければなりませ
      ん。
      I have lost my watch. I must buy one (=a watch).
      (時計をなくしてしまった。〔どんな時計であれ〕買わなくては)
      I have lost my watch. I must find it (=the watch).
      (時計をなくしてしまった。〔そのなくした〕時計を探さなくては)
    2. 修飾語を伴う場合
      oneはthe、this、that、which、whatなどの修飾語句を伴うことができます。また形容詞がつく場合は、単数では不定冠詞をその前につけ、複数ではoneをonesに代えます。
      Which one is better, this one or that one in the window?
      (どちらがいいかな、こちらか、ウィンドーのあれかな)
      I have three pens ―― a red one and two blue ones.
      (私はペンを3本持っている ―― 赤が1本と青が2本)
      【注意】形容詞を伴わない場合の複数形にはsomeを用います。
      I’ve used (up) all the stamps. I must buy some.
      (切手をみんな使ってしまった。少し買わなくては)
      前述のように、oneは可算名詞の代わりに用いられるので、既出の名詞が「数えられない名詞」としての物質名詞などの場合は、oneは用いず、形容詞だけの形になります。
      I like red wine better than white (wine).
      (私は白ワインより赤ワインの方が好きだ)
  3. その他の場合
    oneは時を表す名詞にそえて、「ある」(a certain)の意味を示すことがあります。
    One fine day he took his children to the park.
    (ある晴れた日、彼は子供たちを公園につれていった)
    One morning I was reading the paper as usual.
    (ある朝、私はいつものように新聞を読んでいた)
    Oneにはまた他の不定代名詞と結んで、
    one~another・・・ (1つは~、もう1つは・・・)
    the one~the other・・・ (前者は~、後者は・・・)
    などの成句がありますが、詳しくは後述の「9-4 otherとanother」の項を参照して下さい。