好評連載コラム 実務翻訳のススメ

19-2 補語として

スポンサーリンク

第19章 分詞の用法

分詞は形容詞の働きも兼ねているので、主格補語および目的格補語としても用いられます。

  1. 主格補語として ―― 不完全動詞のあと
    1. 現在分詞
      be動詞と結合して進行形をつくるほか、lie、sit、stand、keep、remain、go、comeなど静止や運動を表す不完全自動詞のあとに用いて、叙述的な意味を表します。
      The city lies sleeping. (町全体が寝静まっている)
      We sat〔stood〕looking at each other.
      (私たちはすわって〔立って〕顔を見合わせていた)
      They kept (on) working in the dead of night.
      (彼らは深夜も眠らず働きつづけた)
      Salaried workers go out drinking after work to get rid of stress.
      (サラリーマンはストレス解消のため仕事のあと飲みに出かける)
    2. (b)過去分詞
      be、haveと結合して受動態・完了形をつくるほか、lie、sit、stand、come、go、remain、rest、seem、appear、become、getなどの不完全自動詞のあとに置いて、動作の結果生じた状態などを表します。
      The section chief sat surrounded by his staff.
      (課長はスタッフに囲まれてすわっていた)
      He came home dead tired. (彼はくたくたに疲れて帰宅した)
      Japan’s position on maintaining the triple non-nuclear principle remains unchanged.
      (非核三原則の維持に対する日本の立場は、今なお変わりはない)
      He appeared〔seemed〕quite satisfied with your explanation.
      (彼は君の説明に大いに満足しているようだった)
      They got wildly excited to hear of the sudden increase in stock prices.
      (彼らは株価の急騰を耳にしてひどく興奮した)
  2. 目的格補語として ―― 不完全他動詞のあと
    1. 現在分詞
      知覚・認識動詞、使役動詞あるいはkeep、leave、setなどの不完全他動詞の目的格補語として用い、「・・・が~している(継続・進行中)のを見る〔聞く・・・〕」、「・・・に~させておく」などの意味を表します。
      I saw them working in silence.
      (彼らが黙々と働いているのが見えた)
      I noticed the motor vibrating slightly.
      (モーターがかすかに振動しているのに気がついた)
      I cannot have you doing that.
      (君にそんなことをさせておくわけにはいかない)
      I am sorry to have kept you waiting for an hour.
      (1時間もお待たせして申しわけありません)
    2. 過去分詞
      知覚・認識動詞、使役動詞のほかget、keep、leave、want、wish、likeなどの不完全他動詞の目的格補語として用い、「・・・が~されるのを見る〔聞く、知る、望む・・・〕」、「・・・を~させる、~してもらう」などの意味を表します。
      I often heard Japanese spoken in Hawaii.
      (ハワイではしばしば日本語が話されるのを聞いた)
      He found the work half-done.
      (彼は仕事が半分しか終わっていないことがわかった)
      They want the bill passed as soon as possible.
      (彼らはその法案が可及的速かに可決されるよう望んでいる)
      I made myself understood in English.
      (私は英語で自分の意思を通じさせた)
      We had〔got〕our office built by a veteran architect.
      (我々は事務所をベテラン建築家に建てさせた〔建ててもらった〕)
      We left no possibility untried.
      (私たちは出来ることはなんでもやってみた)
      [注]「have〔get〕+ 目的語 + 過去分詞」には「~させる」「~してもらう」(自分に有利な場合)という使役的な意味と、「~される」(自分に不利な場合)という受動的な意味があることは「助動詞」の項でも学びましたが、このほかhave〔get〕が所有(possess、hold)の意味を含んで、「~してしまっている」という完了した状態を述べる場合もあります。
      have my report finished.
      (=I possess my report in a finished condition.)
      (私の報告書はすっかり仕上がっている)
      比較:I have finished my report. (私は報告書を仕上げたところだ)