- 特定の人を示すのではなく、広く一般の人々を指す場合。
We had a lot of snow this winter. (この冬は雪が多かった)
We learn our language by hearing our parents.
(人は親のことばを聞いて、ことばを覚える)
You must obey your parents. (両親の言うことは聞かねばならない)
You should be kind to your friends. (友人には親切にすべきだ)
They don’t sell wine at that shop. (あの店ではワインは売っていない)
They say (= It is said) that he already left for India on a JAL flight.
(彼はもう日航機でインドに向かったそうだ)
上の例文の主語(we、you、they)はいずれも一般の人々を表しており、このような複数形を総称人称と言います。しかし、よく見ると、we、you、theyのもとの意味は残っており、weは話し手自身も含めて言っており、youは相手に何かを訴える場合で、親しみの気持ちや説教的なひびきを表します。また、theyはある場所やある状況にいる人々のほか、ばく然と世間一般の人々を指すこともあります。
なお、これらwe、you、theyなど総称人称は日本語では訳さないのが普通です。 - weの特別用法
weが特定の「私たち」やまた「総称人称」としてではなく、Iやyouの代わりに用いられて、遠慮や謙そん、親しみ、思いやりなどを表すことがあります。
We (=I) will not go on to discuss his executive talent.
(彼の経営手腕の話には立ち入らないことにしよう)
また、筆者、著者、講演者が自分の意見などを述べるとき、Iのかわりにweを用いることがあります。これをeditorial ‘we’(編集者のwe)といいます。
We cannot persuade ourselves that the Government is in earnest on this point.
(筆者は、政府がこの点に関しまじめに考えているのかどうか確信がもてない) - itの特別用法
- 天候、日時(期間)、距離、明暗、状況(事情)などを表す場合
非人称のit、状況のitと呼ばれ、特別の意味はなく、“S+V” の形式を整えるために慣用的に用いられているものです。したがって、このitは「それは」とは訳しません。
It is much cooler here than in Tokyo.
(ここは東京よりずっと涼しい)〔天候〕 It is ten year since I joined this company.
(当社に入社してから10年になります)〔期間〕 It is about fifty kilometers to Narita Airport.
(成田空港まで約50kmです)〔距離〕 In summer it is light even at night at the North Pole.
(北極では夏は夜になっても明るい)〔明暗〕 “Who is it?” - “It’s me.”
(「だれですか」-「私です」)〔状況〕 It happened that I was out when he called.
(彼が訪ねてきたとき、たまたま私は留守だった)〔事情〕 - 前出の句や節の内容をさす場合
He advised me to do so, but I thought it quite useless.
(彼は私にそうするよう勧めたが、私はそれを全く無益と思った)
They say that he is going to America, but I do not believe it.
(彼がアメリカに行くという話だが、私はそれを信じない) - 後にくる句や節をさす場合
『文型』の項でも少し触れましたが、このitは「予備のit」と言われ、形式上の主語または形式上の目的語として用いられます。実際の主語・目的語は後続する動名詞・不定詞・thatに
導かれた句や節です。
It is no use crying over spilt milk.
(こぼれたミルクを嘆いても仕方がない ―― 覆水盆に返らず)
It is everyone’s desire to live a long life.
(長生きは万人の望むところである)
I found it difficult to refuse this proposal.
(この申し出を拒絶するのは骨が折れた)
It is necessary that you should go.
(君が行くことが必要だ)
I think it probable that he failed.
(彼が失敗したということはありうると思う) - 強意のIt is~that・・・の構文
これは(~)のところに挿入した語句の意味を強調する言い方で、that以下の動詞が過去形ならば、isはwasになります。
It is today that Mr. Smith is coming to see us.
(スミス氏が私たちに会いにくるのは、きょうなのです)
It was in New York that I first made his acquaintance.
(はじめて彼と知り合ったのはニューヨークでした)
【注】この構文はあくまでも(~)の部分を強調するもので、(c)の形式主語を表す構文とは働きが異なります。
たとえば、(d)の例文It was in New York that I first made his acquaintance.のIt、was、thatをはずせば、In New York I first made his acquaintance.という完全な文になります。しかし(c)の例文It is necessary that you should go.のIt、is、thatをはずすと、Necessary you should go.となって完全な文にはなりません。
なお、この強調構文ではthatを用いるのが普通ですが、who、which、whenなどを代わりに用いることもできます。
It is I who am to blame for the loss.
(損失の責任を負うべきなのは私なのです)
It is the work of these past five years which has given him his present skills. (彼が今の技能を身につけているのは、この5年間の仕事のおかげである)
It was past midnight when the party finished.
(パーティが終わったのは深夜であった)
- 天候、日時(期間)、距離、明暗、状況(事情)などを表す場合