好評連載コラム 実務翻訳のススメ

9-5 eachとevery

eachは2つまたは2つ以上のものについて、個別的に「おのおの」、「それぞれ」の意味を表し、単独にも、名詞の前にも用いられます。
everyは3つ以上のものについて、個別的に「どれもこれも」の意味を表すだけでなく、総括的に「残らずみんな」という意味を表し、必ず次に名詞を伴って用いられます。
eachとeveryもともに通常単数として扱われます。

  1. eachの用法
    代名詞のほか形容詞としても用いられます。
    Each of us earns ten dollars.
    (=We each earn ten dollars.またはWe earn ten dollars each.)
    (私たちはめいめい10ドルずつもうける)
    Each room is furnished with a table and chairs.
    (各部屋にテーブルと椅子がついている)
  2. everyの用法
    形容詞としての用法しかなく、単数名詞の前のほか、数詞の前にも用いられます。
    Every woman in this section is married.
    (この課の女性はみんな結婚している)
    There are buses to the station every ten minutes.
    (10分ごとに駅に行くバスがあります)
    このほかeveryは「every+否定語」の形で、「ことごとく~とはかぎらない」という意味の部分否定を表すことがあります。
    Everybody cannot succeed in the world.
    (だれもがこの世で成功するわけではない)
    I have not read every book on that shelf.
    (棚の本をみんな読んだわけではありません)
    【注意】部分否定にはeveryのほか、some、all、both、always、necessarilyに否定語notがつく例があります。
    部分否定を完全否定にするにはふつうnobody、no one、none、nothing、never、not・・・any~、not at allなどを利用します。
    I am not acquainted with everybody in the office.
    (事務所のだれもかれもみんな知っているわけではない)
    〔部分否定〕
    I am not acquainted with anybody in the office.
    (事務所のだれも知らない)
    〔完全否定〕
  3. everyとallのちがい
    everyとallは日本語になおすと「すべての」といって、同じような意味に解されますが、英語ではallは始めから全体をひとまとめにして述べる場合に用いられ、everyはひとつひとつを念頭においた上で総合的に述べる場合に用いられます。そうした意味でeveryはallよりも強意的だと言えます。なおeveryは単数名詞につけ、allは特別な場合を除いて複数名詞につくことも注意を要する点です。
    Every member was present. (出席しないメンバーは1人もいなかった)
    All (the) members were present. (全メンバーが出席した)
  4. everyとanyのちがい
    every が総合的な言い方なのに対して、anyは「どれでも1つ」という分析的な色合いが強く、また状態を表す動詞にはeveryを、動作を表す動詞にはanyを伴う傾向があります。
    He knows everything. (彼はなんでも知っている)
    He can teach anything. (彼はなんでも教えられる)