好評連載コラム 実務翻訳のススメ

27-1 直接話法と間接話法

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第27章 話法

人が述べた言葉や思想を伝える方法を話法といい、それにはふつう直接話法と間接話法があることはすでに紹介しました。ただ、話法は実務文ではあまり多く用いられない傾向にありますので、ここではできるだけ簡略にその種類と転換の概要を掲げておきます。

直接話法とは、その人の言った言葉をそのまま伝える方法で、引用符(quotation marks〔“ ”〕)を用います。
間接話法とは、その人の言った言葉を話し手が自分の言葉に言い直して伝える言い方で、that、if、whetherなどの接続詞がよく用いられます。

He says, “I am quite busy on a new project.”
(彼は「ぼくは新しいプロジェクトで忙しいんです」と言う)
〔直接話法〕
He says that he is quite busy on a new project.
(彼は新しいプロジェクトで忙しいと言っている)
〔間接話法〕


上の直接話法の文で、saysを伝達動詞、He saysを伝達文、引用符で限られた部分 “I am quite busy on a new project.” を被伝達文と呼びます。
【注】直接話法では、伝達文がつねに文頭にくるとはかぎらず、被伝達文のあとに置かれることもあります。
“See you again,” said Tom. (「また会いましょう」とトムは言った)
ただし、伝達文の主語が代名詞のときはふつう “See you again,” he said.となります。
このほか被伝達文の途中に伝達文が割り込むこともあります。
“I want you to look neat,” he reminded his workers, “and not wear blue jeans in the office.”
( 「オフィスでは(身なりは)きちんとして、ジーパンは着用しないでほしいね」と彼は従業員に念を押した)