第12章 副詞
副詞はそれが修飾する語句に最も近いところに置かれるのが原則ですが、特定の語句や文体あるいは強勢などによって、置かれる位置に注意すべきものが少なくありません。
- 動詞を修飾する場合
- 自動詞を修飾する場合は、ふつうその直後に置きます。ただし、補語があるときは補語の後に置きます。
The machine began to move slowly. (機械はゆっくりと作動しはじめた)
I am very busy now. (私はいまとても忙しい) - 他動詞を修飾する場合は、一般に目的語の次か、目的語が長いときは動詞と目的語の間に置きます。
He speaks English fluently. (彼は流暢に英語を話す)
He saw most clearly the importance of being earnest.
(彼はまじめであることの重要さがはっきりとわかった)
【注意】ただし、目的語が短くても、副詞の語勢が弱いときは動詞の前に置くことがあります。
He briefly explained his meaning.
(彼は手短かに自分の趣旨(考え)を説明した) - 動詞が助動詞をもっている場合、助動詞が1つのときは副詞は助動詞と本動詞の間に、2つ以上助動詞を伴うときは副詞は第1助動詞と第2助動詞の間に置かれます。
You should always obey your parents.
(両親の言うことにはいつも従うべきである)
It will easily be understood. (それは容易にわかるだろう)
【注意1】ただし、助動詞が2つ以上あっても、副詞が本動詞と特に密接な関係をもっていると考えられる場合は、本動詞の直前に置きます。
She will be heartily welcomed.(=She will be given a hearty welcome.)
(彼女は心から(の)歓迎をうけるだろう)
【注意2】助動詞のあとを省略する場合には、副詞は主語の直後に置き、強めに発音します。
“Have you ever been to Chicago?” “No, I néver have.”
(「シカゴに行ったことがある?」「いやぁ、一度もないんだ」)
“Say hello from me to your father.” “I cértainly will, thank you.”
(「お父さんによろしく」「かしこまりました、どうも」) - 度数・頻度を表す副詞はふつう動詞(自動詞・他動詞を問わず)の前に置かれます。
I usually play golf on Sunday. (私は日曜日には大ていゴルフをする)
He never comes on time. (彼は決して時間通りには来ない)
【注意】ただし、be動詞や助動詞があるときはその後におかれます。
He is always complaining. (彼はいつも不平を言っている)
I have never seen such a wonderful robot.
(こんなすばらしいロボットは今までに見たことがない) - 他動詞と密接に結びついて用いられる副詞(on、off、up、down、out、inなど)は、動詞の目的語が名詞ならばその名詞の前または後に置き、目的語が代名詞ならばその代名詞の後に置きます。
He put on his shoes.(=He put his shoes on.) (彼は靴をはいた)
He put them on. (彼はそれをはいた)〔・・・on themとはいわない〕
- 自動詞を修飾する場合は、ふつうその直後に置きます。ただし、補語があるときは補語の後に置きます。
- 不定詞(to+動詞の原形)を修飾する場合 ―― ふつうtoの前に副詞を置きます。
She seems always to be happy.(=She seems to be always happy.)
(彼女は、いつもしあわせそうだ)
He told me not to go there. (彼は私にそこに行くなと言った)
I am very glad to see you. (お会いできて大へんうれしいです)
It is awfully good of you. (本当にご親切さま、どうもありがとう)
【注意】上の例のようにnot、always、only、merelyなどはふつう不定詞のtoの前に置かれますが、それ以外の副詞(句)は、文意と口調によって、toの後に置かれることもあります。
$$
\begin{cases}
\text{He failed entirely to avoid it. (彼は完全にそれを避けそこなった)} \\
\text{He failed to entirely avoid it. (完全に回避するまでにはいかなかった)} \\
\end{cases}
$$
He still has the power to greatly influence opinion among those who work for him.
(今なお彼は、彼のために働く者たちの意見を大きく左右する力を持っている) - 形容詞・副詞や句・節を修飾する場合
この場合副詞はその直前に置かれます。ただし、enoughはその後に置かれます。
He is very kind to others. (彼は他人にはとても親切だ)
He was able to do it well enough. (彼はりっぱにそれをやってのけた)
He came long before the appointed time. (彼は約束の時間のずっと前に来た)
soonafter I arrived. (彼は私が着いたあとすぐに外出した) - 名詞・代名詞を修飾する場合
名詞を修飾する場合は、語によってその前後いずれかに置かれます。たとえばquite、evenなどはいつも名詞の前に置かれ、aloneは後に置かれます。
代名詞を修飾する場合はその後に置かれるのがふつうですが、onlyのようにその前後に置くことのできるものもあります。
Even a child can do it. (子供でもそれはできる)
He was quite a gentleman. (彼はほんとうの紳士だった)
What else do you want? (他に何がほしいのかね)
Only he〔He alone〕can break the deadlock. (彼だけが難局を打開できる) - 副詞そのものを強調したい場合
この場合にはその副詞を文頭に置くのがふつうです。
Yesterday I met him in our office.(きのう私は会社で彼に会った)
【注意】ただし、次のように文語調の文では、助動詞(助動詞がない場合はdo)を主語の前に出したり、主語と動詞の順序を逆にする(倒置)こともあります。
Little did I dream that I should never see him again.
(二度と彼に会えなくなるとは夢にも思わなかった)
Then came the dreadful end. (それから恐るべき結末がきた - 副詞(句)が2つ以上続く場合
- ふつう小さい単位を表すものを前に置きます。
I will meet you / at three o’clock / tomorrow.
(あす、3時にお会いしましょう)
I got this radio / at Akihabara / in Tokyo.
(私はこのラジオを東京の秋葉原で手に入れた)
【注意】ただし、大きい単位のほうが重要であったり、小さな単位をつけ加えるような場合は上の逆になります。
A traffic accident happened / last night / (at) about ten o’clock.
(交通事故が昨夜、10時頃おきた) - 時と場所を表す副詞を同時に用いる場合には、原則的には場所を表す副詞を先におきます。さらに、これらに様態や頻度を表す副詞が加わるときには、場所-様態(頻度)-時間の順序になるのが普通です。
ただし、綴りの長短の差が著しいときは、短いものを先に置きます。
He arrived / here / safely / yesterday. (彼は昨日無事ここに着いた)
We arrived / safely / at the airport / last night.
(我々は昨夜無事空港に着いた)
I met him / yesterday / at the party which was held by Mr. Carter.
(私はきのうカーター氏主催のパーティで彼に会った)
- ふつう小さい単位を表すものを前に置きます。