第6章 冠詞
- 定冠詞の一般的用法
- 前に一度出た名詞を再びくりかえすとき
He has a son and a daughter. The son is an engineer and the daughter is a teacher. (彼には息子と娘がある。息子は技師で娘は教師である)
There are two ladies and three children in this picture. The children are all smiling. (この写真には2人の婦人と3人の子どもがいます。子どもたちはみんなほほえんでいます) - はじめて出たものでも、文脈・状況から特定性が明らかなとき
He went to his room and shut the window(=the window of his room)
(彼は自分の部屋に行き、窓を閉めた)
Send for the doctor at once.
(〔かかりつけの〕医者をすぐ呼びにやってください)
the station (〔この地の〕駅)、 the bank (〔取引関係のある〕銀行) - 唯一のもの(またはそのように認められているもの)を指すとき
The sun is farther from the earth than the moon is.
(太陽は月よりも地球から離れている)
The sea、 the sky、 the universe(宇宙)、 the world、the equator(赤道)
- 前に一度出た名詞を再びくりかえすとき
- 定冠詞の特別用法
- 「the+単数普通名詞」の形で
- 種族全体や技術的な発明品、楽器、身体の一部などを表すとき
The whale is the largest animal. (くじらは最も大きな動物である)
The robot can be programmed to perform a number of complex tasks.
(ロボットは多くの複雑な仕事をこなせるようプログラムできる)
He can play the piano (violin, organ, flute, guitar, etc.).
Too much light hurts the eye. (光が多すぎると目を痛める)
【注】不定冠詞のところでも触れましたが、「種族」や「類」の全体を表すには、(イ)「不定冠詞+単数名詞」、(ロ)「定冠詞+単数名詞」のほか、(ハ)「無冠詞の複数名詞」も使えます。このうち(ハ)が最も一般的な言い方といえましょう。
$$
\begin{cases}
\text{A dog is a four-footed animal. (犬に四足獣である) } \\
\text{The dog is a four-footed animal.} \\
\text{Dogs are four-footed animals}\\
\end{cases}
$$
ただし、人間一般や男女一般について述べる場合はman、womanだけでtheもaもつけません。
Man is the only animal that can use tools.
(人間は工〔道〕具を使うことのできる唯一の動物である)
People say that man thinks with the head, woman with the heart.
(男は頭で考え、女はハートで考えると言われる) - 抽象的な意味が加わり、その名詞のもつ性質・職能を表すとき。ただし、ことわざなどに用いられ、あまり一般的ではありません。
The pen is mightier than the sword. (ペン〔文〕は剣〔武〕にまさる)
the cradle (揺りかご → 幼時) the bench (ベンチ → 判事職)
- 種族全体や技術的な発明品、楽器、身体の一部などを表すとき
- 「the+複数普通名詞」の形で、特定のものの全体を示すとき
Some of them stayed in the room and the others went out.
(彼らの何人かは部屋にとどまり、残りの者は外に出た)
【注】次の例を比較してください。
Leaves fall in autumn. 〔一般的〕
(木の葉は秋に落ちる)
It was autumn, and the leaves fell. 〔特 定〕
(秋になって、木の葉はみな落ちた) - 「the+固有名詞」
固有名詞は本来ただひとつの人または物につけられた名称ですので、それにさらに特定の意味を表すtheをそえる必要はありません。しかし、その語の成り立ちや習慣としてtheをつける固有名詞もかなりあります。- 河川・海流・海洋(湖にはつけない)
the Nile(ナイル川)、 the Gulf Stream(メキシコ湾流)、
the Pacific (Ocean)(太平洋) - 運河・半島・海峡(湾にはつけない)
the Suez Canal(スエズ運河)、 the Malay Peninsula(マレー半島)、 the English channel(イギリス海峡) - 艦船・航空機・鉄道・航空路
the Queen Elizabeth 2(エリザベス2世号)、 the Soya(宗谷丸)、
the Hikari(ひかり号)、 theTrans-Siberian Railway(シベリア横断鉄道)、
the Trans-Pacific Line(太平洋横断航空路) - 公共その他の建造物(駅・空港・公園・橋などにはつけない)
the British Museum(大英博物館)、
the Kabukiza (Theater)(歌舞伎座) - 書籍・新聞・雑誌
the Bible(聖書)、 the Mainichi(毎日新聞) - 複数形の固有名詞(山脈・群島・国土・国民・家族・党派など)
the Alps(アルプス山脈)、 the Philippines(フィリピン群島)、 the Netherlands(オランダ)、
theUnited States (of America)(アメリカ合衆国)、
the Americans(アメリカ人)、 the Browns(ブラウン家の人々)、the Republicans(共和党) - ofのついた地〔国〕名
the Gulf of Mexico(メキシコ湾)、 the Japan of 1990(1990年の日本) - 形容詞のついた人〔地〕名
the late Dr. Einstein(故アインシュタイン博士)
the well-known Niagara Falls(かの有名なナイアガラの滝) - (d)byのあとに単位や割合を示す名詞がきたとき
We buy eggs by the dozen. (私たちは卵をダース買いする)
They sell cotton by the meter. (綿布はメートル単位で売られる)
Temporary employees are usually paid by the hour.
(臨時雇はたいてい時間給である)
- 河川・海流・海洋(湖にはつけない)
- (e)動作の対象部分を表す名詞がきたとき
所有格は用いず、「前置詞+the+名詞」の形となります。
He looked me in the face. (彼は私の顔をのぞきこんだ)
I touched him on the arm. (私は彼の腕に触れた)
She took me by the hand. (彼女は私の手をとった)
- (f)「the+形容詞」の用法
- 最上級を表す形容詞とともに
the highest wages (最高賃金)
the most efficient machine (最も効率のよい機械) - 序数詞とともに
the first step (第一歩)
the second〔next〕best policy (次善の策) - 次のような限定性の強い形容詞とともに
the very (まさにその)、 the same (同じ)、
the only (唯一の)、 the following (次の)、 the main (おもな) - 単・複普通名詞や抽象名詞に転化して
the sick(=sick people) (病める人々)
the accused(=the accused person) (被告)
the good(=goodness) (善)、
the beautiful(=beauty) (美)
- 最上級を表す形容詞とともに
- (g)「the+比較級」の形で、程度を表す副詞句として
- 前後に対立する場合 ―― 「~であればあるほどますます・・・」
The higher we go up in the air, the colder it becomes.
(空高くのぼればのぼるほど、ますます寒くなる)
The sooner, the better. (早ければ早いほどよい)
The more, the merrier. (多ければ多いほど楽しい) - 単独で用いられる場合-そのあとに理由を示す句(節)を伴って、「それだけいっそう・・・」
I like him the better for his diligence.
(私はその勤勉さゆえにますます彼を愛する)
His mother loved him the more because he was so weak.
(彼の母は彼が虚弱なので、ますます彼を愛した)
- 前後に対立する場合 ―― 「~であればあるほどますます・・・」
- (h)慣用語句の中で
in the morning〔evening、afternoon、daytime〕 (午前〔晩、午後、日中〕に)、
on the spot (即座に)、 on the way (途中で)、
by the way (ついでながら、ところで)、 to the last (最後まで)
- 「the+単数普通名詞」の形で