好評連載コラム 実務翻訳のススメ

6-1 不定冠詞の用法

  1. 不定冠詞の一般的用法
    1. 数えられる名詞(普通名詞・集合名詞)の単数形に付いて、それが単数であることを示すとき。これはふつう意味が弱く、日本語ではとくに「ひとりの、ひとつの」と訳す必要はありません。
      He is an expert in economics.
      (彼は経済の専門家である)
      〔普通名詞〕
      What a (large) crowd of people!
      (なんてすごい人込みなんでしょう)
      〔集合名詞〕


    2. any(どの~でも)の意味で、類全体を表すとき
      A molecule is the smallest particle of a substance that has all the properties of that substance.(分子とは、その物質の特性をすべてもつ物質の最小粒子である)
      A cat can see in the dark. (猫は暗やみでもものが見える)
      The cat can see in the dark. → 〔「6-2 定冠詞の用法」参照〕
      Cats can see in the cark.
  2. 不定冠詞の特別用法
    1. one(1つの)の意味として
      Rome was not built in a day. (ローマは一日にして成らず)
      a foot long(長さ1フィート)、
      in a word (一言で言えば)
    2. a certain、some(ある、いくらかの)の意味として
      That is true, in a sense. (ある意味では、それは本当だ)
      I know a man who has a knowledge of space technology.
      (私はいくらか宇宙工学の心得がある人を知っている)
    3.  per、each(~につき、~ごとに)の意味として
      This car can run 80 miles an hour.
      (この車は時速80マイルで走行が可能だ)
      He goes to New York once or twice a year.
      (彼は年に一、二度ニューヨークへ出かける)
      25 cents a pound (1ポンドあたり25セント)
      10,000 yen a day (日給1万円)
    4.  such(このような)の意味として
      He is not a man to take bribes. (彼はわいろを取るような人間ではない)
      He is a man that must be treated kindly.
      (彼は親切に扱わねばならないような人です)
    5. 序数についてanother(さらに、次の)の意味として
      This policy might cause a third oil crisis.
      (こうしたやり方は第三の石油危機を引起こすかもしれない)
    6. 慣用語句の中で
      It is a pity you did not go. (君が行かなかったのは残念だ)
      as a rule (概して)、 in a hurry (急いで)、 on (an) average (平均して)、
      get〔have〕an idea (思いつく)、make a speech (演説する)、
      take〔have〕a walk〔bath、rest〕 (散歩する〔入浴する、ひと休みする〕)

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