名詞の文法上の性は必ずしも自然の性とは一致しませんが、通常次の4つに分類することができます。
- 男性 ―― father、son、boy、kingなど
- 女性―― mother、daughter、girl、queenなど
- 通性―― parent、child、monarch(元首)など
- 中性 ―― tree、school、star、whiteness(純白)など
- 男性と女性 ―― 男性と女性は、別個の語または語形変化などで表します。
- 男・女性語が別個のもの
$$ \begin{cases} \text{gentleman} & (紳士) \\ \text{lady} & (淑女) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{husband} & (夫) \\ \text{wife} & (妻) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{king} & (王) \\ \text{queen} & (女王) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{man} & (男) \\ \text{woman} & (女) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{nephew} & (おい) \\ \text{niece} & (めい) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{sir} & (だんなさま) \\ \text{madam} & (奥さま) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{son} & (むすこ) \\ \text{daughter} & (娘) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{uncle} & (おじ) \\ \text{aunt} & (おば) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{ox (bull)} & (雄牛) \\ \text{cow} & (雌牛) \end{cases} $$ - 男性語の語尾に-ess、-ine、-ixなどをそえて女性語をつくるもの
$$ \begin{cases} \text{actor} & (俳優) \\ \text{actr}\textbf{ess} & (女優) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{emperor} & (皇帝) \\ \text{empr}\textbf{ess} & (女帝) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{prince} & (王子) \\ \text{princ}\textbf{ess} & (王女) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{host} & (主人) \\ \text{host}\textbf{ess} & (女主人) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{steward} & (給仕) \\ \text{steward}\textbf{ess} & (女給仕) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{waiter} & (給仕) \\ \text{waitr}\textbf{ess} & (女給仕) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{heir} & (相続人) \\ \text{heir}\textbf{ess} & (女相続人) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{hero} & (主人公) \\ \text{hero}\textbf{ine} & (女主人公) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{aviator} & (飛行家) \\ \text{aviatr}\textbf{ix} & (女性飛行家) \end{cases} $$ - 女性語から男性語をつくるもの
$$ \begin{cases} \text{widow} & (寡婦) \\ \text{widow}\textbf{er} & (男やもめ) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{bride} & (花嫁) \\ \text{bride}\textbf{groom} & (花婿) \end{cases} $$ - 性を表す別の語をそえて複合語にするもの
$$ \begin{cases} \text{English}\textbf{man} & (英国人) \\ \text{English}\textbf{woman} & (英国婦人) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \textbf{father}\text{-in-law} & (義父) \\ \textbf{mother}\text{-in-law} & (義母) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{foster-}\textbf{son} & (養子) \\ \text{foster-}\textbf{daughter} & (養女) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{grand}\textbf{father} & (祖父) \\ \text{grand}\textbf{mother} & (祖母) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{grand}\textbf{son} & (孫息子) \\ \text{grand}\textbf{daughter} & (孫娘) \end{cases} $$$$ \begin{cases} \text{land}\textbf{lord} & (旅客の主人) \\ \text{land}\textbf{lady} & (旅館の女主人) \end{cases} $$
- 男・女性語が別個のもの
- 通性名詞
通性名詞とは男女両性に共通する名詞で、これらの語では性別を表すときには、male、femaleをつけて、a male cousin、a female novelistとしたり、a boy student、a girl studentなどで表現します。
これらには、baby、Christian、cousin、debtor(債務者)、enemy、foreigner、friend、guest、infant、neighbo(u)r、novelist(小説家)、orphan、person、pianist、pupil、reader、relative(親類)、student、teacher、thief(強盗)、writerなどがあります。 - その他「性」について注意すべきこと
以上、英語の名詞の性について概略を述べましたが、このほかとくに注意すべき点をいくつか掲げておきます。
- とくに男女の別の明治する必要がある場合を除き、共通語あるいは通性名詞を用いるのが最近の傾向です。たとえば、
doctor(医者)、editor(編集者)、poet(詩人)、singer(歌手)、chairman〔chair-person〕(議長)、freshman(新人)、doorman〔doorperson〕(玄関係)
など、いずれも男女共通に用いられます。
She is the greatest doctor in the county.
(彼女は国中で一番の名医である ―― doctress(女医)は避ける) - 性別が不明または性別に言及する必要のないときは中性として扱い、代名詞もふつうitを用います。
A baby cries when it is hungry. (赤ん坊は腹がへると泣く)
Who is it at the door? “It’s me.”
(「玄関にいるのはどなたですか」「わたしです」) - 船を表す語(ship、boat、submarine)は女性として扱われますが、最近の用法では中性として扱われる傾向にあります。
The atomic-powered submarine, Nautilus, made her〔its〕first Western Pacific cruise last year.
原子力潜水艦ノーチラス号は昨年最初の西太平洋巡航を行った) - 国名は「国民」「国家」のように擬人化して考えた場合には女性扱いに、「国土」の意味が濃い場合には中性として扱われますが、これらも最近の用法は中性扱いの傾向が強くなっています。
England is proud of her〔its〕great poets.
(英国はその偉大な詩人たちを誇りとしている)
Japan should open her〔its〕doors to foreign-made goods.
(日本は外国の商品に対してその門戸を開放すべきである)
Switzerland is noted for its beautiful scenery.
(スイスはその美しい景色で知られている)
- とくに男女の別の明治する必要がある場合を除き、共通語あるいは通性名詞を用いるのが最近の傾向です。たとえば、