好評連載コラム 実務翻訳のススメ

2-3 節

とは、「主語+動詞」といった文の形を備えながら、長文の一部をなしているもので、いわば「文中の文」とも言えます。
節は節相互の比重関係からみて、1 独立節または等位節、2 主節、3 従属節、の3つに分類されます。

  • 2-3-1 独立部(等位部)
    これはそれぞれの節が全く対等の関係を示している節で、and、but、or、so、forなどの等位接続詞や、コロン(:)、セミコロン(;)などで結ばれます。
    He is an expert, but I am only a beginner.
    (彼は専門家だが、私はほんの初心者だ)
    \( \begin{cases} \text{There was no wind at all } \textbf{and } \text{the weather was at its best. } \\ \text{There was no wind at all : the weather was at its best. } \\ \end{cases} \\ \text{(風は全くなく、天気は上々だった)} \\ \text{It is growing dark} \textbf{;} \text{ the sun has set. } \\ \text{(だんだん暗くなってくる、太陽が沈んだからだ)} \)
  • 2-3-2 主部と従属節
    He came when I was not at home. (彼は私が留守をしているときに来た)
    上の文は、He cameとI was not at homeの2つの節がwhenという時を表す接続詞で結ばれた例です。この2つの節は対等の関係ではなく、中心は「彼が来た」という事実であり、「留守中」はその時の状況を言い添えたにすぎません。
    このように2つの節が「中心-付属」の関係で結ばれるとき、中心的な働きをになっている節を主節といい、付属的な立場にある節を従属節と呼びます。
  • 2-3-3 従属節の働き
    従属節は主節に対する働きによって、(1)名詞節、(2)形容詞節、(3)副詞節の3種類に分けられます。
    1. 名詞節
      名詞のように文の主語・補語・目的語の働きをするほか、同格語としても用いられます。主節との連結語には、that、if、whetherなどの従位接続詞、および関係代名詞、関係副詞、疑問代名詞、疑問副詞があります。
      It is certain that he will succeed in life.
      (彼が人生で成功を収めることはたしかだ――itは仮主語)
      〔主 語〕
      He has made me what I am.
      (彼が私を今の私にしてくれたのです)
      〔補 語〕
      They told us how much they admired him.
      (彼らはいかに彼を敬服しているかを私たちに語った)
      〔目的語〕
      You must give up the idea that money is everything.
      (君は金がすべてだという考えを捨てねばならない)
      〔同 格〕
    2. 形容詞節
      形容詞のように、その前の名詞・代名詞を修飾する働きがあります。結合語としては、after、beforeなどの従位接続詞や関係代名詞、関係副詞があります。
      The day before they got on board was very cold and windy. (彼らの乗船前日は非常に寒く、風も強かった)
      This is the watch (which) my father gave me.
       (これが父が私にくれた時計です)
      The day (when) the party will leave is not yet fixed.
       (一行が出発する日はまだ決まっていない)
    3. 副詞節
      主節との関係により、時・場所・条件・理由・目的・結果・比較などを表す従位接続詞や複合関係副詞などによって導かれます。
      He reached here after the sun had set.
      (彼は日没後ここに到着した)
      While you are young, make your body strong.
      (若いうちに身体を強くしておきなさい)
      副詞節の位置は比較的自由で、文末、文頭、ときには文中に置かれることもあります。
      $$ \begin{cases} \text{His secretary will follow him } \textbf{wherever } \text{he goes. } \\ \text{Wherever he goes,his secretary will follow him. } \\ \text{His secretary,wherever he goes,will follow him.} \\ \text{(彼が行く所はどこでも秘書がついていく)} \end{cases} $$