好評連載コラム 実務翻訳のススメ

1-2 文の要素

  1. 主語
    主部は上例のTokyoのように1語から成ることもあれば、Japanese computersのように複数語から成る場合もあります。
    主部の中心になる語を主語といいますが、ふつう主部全体をばく然と主語と呼んでいます。

    English is used all over the world.
    (英語は世界中で使われている)

    He and she are now husband and wife.
    (彼と彼女は今では天下晴れての夫婦だ)

    To know oneself is difficult.
    (おのれを知ることはむずかしい)

    Swimming is good for promoting health.
    (水泳は健康を増進するのによい)

    What he says is too difficult for me to understand.
    (彼の言うことはむずかしすぎて私には理解できない)

    〔注〕日本語の「~は」は主題を表しますが、必ずしも主部を表すとはかぎらず、英語の所有格や目的格、ときには副詞に相当することもあります。
    また、日本語では、文脈上明らかな場合にはなるべく主語は用いませんが、英語では原則として主語を省くことはできません。

    「なんとうちの社長は話が長いのだろう」→ How long our president’s talk is!
    教師は一目でそれとわかる」→ We can tell a teacher on sight.
    「今日はもう閉まりました」→ It has been closed for today.

  2. 述語動詞
    述部は主部について何らかの説明を加える部分であり、その中心をなすものは動詞です。動詞には、その性質によって補語または目的語のいずれか、あるいはその両方をとるものもあります。

    Japan is our mother country.
    (日本は私たちの母国である ―― countryは補語)

    Wheat production marked a new record.
    (小麦の生産は新記録を樹立した ―― recordは目的語)

    He kept us waiting so long.
    (彼は私たちを長いこと待たせた ―― usは目的語、waitingは補語)

  3. 目的語
    一般に、動詞の表す動作の働きを受ける語を目的語といいます。たとえば、He broke the
    glass
    in pieces.(彼はそのコップを粉々に壊した)の文で、brokeという動作の対象になっているものはthe
    glassです。
    このように「~を・・・する」(動詞+(代)名詞)という形の文で、「~を」に相当する語を目的語といい、目的語をとる動詞を他動詞といいます。なお、目的語をとらない動詞は自動詞と呼ばれます。

    In Japan, we get bonuses twice a year.
    (日本では年2回ボーナスをもらう〔が出る〕)

    詳しい用例は、「第3章 主要文型」を参照してください。

  4. 補語
    ふつう他の語を補わなくては十分な意味を表せない動詞とともに用いて、その意味を補足する語を補語といいます。たとえば、

    Our firm is one of the medium and small enterprises.
    (当社は中小企業の一つである)

    の文で、主語はOur firm、動詞はisですが、Our firm is ___. だけでは、当社がどんなものかわかりません。one of the medium and small enterprisesを補ってはじめて文の意味が完成します。
    このように___の部分を補って文が完成する語を補語といい、補語を必要とする動詞を不完全動詞といいます。詳しくは、「第3章 主要文型」を参照してください。

    Trade friction became conspicuous around 1976.
    (貿易摩擦は1976年ごろから目立ってきた)

  5. 修飾語句
    主語、動詞、目的語、補語の4つが文を構成する主な要素ですが、このほかにこれらを限定したり、意味をつけ加えて説明したりするものとして修飾語句があります。
    主部が頭部、述部が胴体であるのに対し、修飾語句は頭や胴体につける帽子や衣服、ベルト、手袋、靴下、靴などに相当するものと言えましょう。
    修飾語句は、上述のように主語や動詞、目的語、補語といった文の各要素を修飾するほか、他の修飾語句を修飾したり、文全体を修飾することもあります。
    • 主語を修飾するもの
    • A careless person often makes mistakes.
      (不注意な人は誤ちを犯しやすい)

    • 動詞を修飾するもの
    • He lives next door to the hospital.
      (彼は病院のとなりに住んでいる)

    • 目的語を修飾するもの
    • I have nothing to do today.
      (私は今日は何もすることがない)

    • 補語を修飾するもの
    • He is sure to make you very pleased.
      (彼ならきっと君を大いに楽しませてくれるだろう)

    • 他の修飾語句を修飾するもの
    • That’s a very easy matter for me.
      (そんなことは僕には朝めし前だ)

    • 文全体を修飾するもの
    • Frankly, I disagree with your proposal.
      (率直に言って、私はあなたの提案には反対です)

      To tell the truth, his report was better than I expected.
      (実を言うと、彼の報告は私の予期以上の出来であった)

  6. 連結語句
  7. 文の部分-語、句、節-をつなぐ働きをするものとして連結語句があり、接続詞がこれに用いられます。
    I can speak neither English nor French.
    (私は英語もフランス語も話せない)
    His name is known not only in Japan but also overseas.
    (彼の名前は日本だけでなく海外でも知られている)

    Hurry, and you will be in time. (急げば間に合うだろう)
    If you hurry,you will be in time. 

  8.  その他の要素
    主語、動詞、目的語、補語といった文の主要素や、修飾語句、連結語句といった文の従要素のいずれにも属さず、文法上全く独立した働きをするものもあります。これには間投詞、呼びかけの語句、挿入句(節)などが含まれます。
    Oh! The meeting has already started.
    (あ~ぁ、会はもう始まっている)

    How do you do, Mr.Smith?
    (はじめましてスミスさん)

    Their ideas are, on the whole, very interesting.
    (彼らのアイディアは全体的見てとてもおもしろい)

    The book, although it was written many years ago, is still readable.
    (その本は何年も昔に書かれたものだが、まだ読むに値する)