第15章 動詞の時制
15-3-1 進行時制の種類と形
進行時制とは、一般に「ある一定の時において動作が進行中あるいは継続中」であることを表し、それは基準となる時に応じて6種類があることは前にも述べました。
進行時制の基本形は「be + -ing(動作の現在分詞形)」で表されますが、動詞によっては進行形を作ることのできないものもあることに注意してください。
- 種類
- 現在進行形:am〔are、is〕+ -ing
- 過去進行形:was〔were〕+ -ing
- 未来進行形:will〔shall〕be + -ing
- 現在完了進行形:have〔has〕been + -ing
- 過去完了進行形:had been + -ing
- 未来完了進行形:will〔shall〕have been + -ing
- “-ing” のつくり方
- ふつうの動詞:原形にそのまま-ingをつける。
read → reading、study → studyingなど - 発音しない-eで終わる語:eをとって-ingをつける。
come → coming、write → writingなど - 「1短母音字 + 1子音字」で終わる語:子音字を重ねて-ingをつける。
sit → sitting、swim → swimmingなど
ただし2音節以上の語では、最後の音節にアクセントがある場合にのみ子音字を重ねて-ingをつけます。
begín → beginning、refér → referringなど
なお、equal(匹敵する)、level(平らにする)、quarrel(けんか〔口論〕する)、travel(旅行する)などの現在分詞は、イギリスでは最後の文字のlを重ねますが(-lling)、アメリカでは重ねません(-ling)。 - -ieで終わる語:ieをyにかえて-ingをつける。
die → dying、lie → lyingなど
- ふつうの動詞:原形にそのまま-ingをつける。
15-3-2 進行時制の用法
- ある一定の瞬間に進行中または継続中の動作
現在: He is writing (something) now. (彼はいま書きものをしている) 過去: He was writing (something) at that time.
(彼はその時書きものをしていた)未来: He will be writing (something) at this time tomorrow.
(彼はあすの今頃は書きものをしているだろう) - ある一定の期間に進行中または継続中の動作
進行形はある瞬間において進行中の動作を表すだけでなく、もっと幅広い期間 - 話者が述べているそのときはしていなくても - あるいは一時期継続している動作を表すこともできます。
たとえば、My uncle lives in Paris. はいわば習慣的現在ですが、これに対してMy uncle is living in Paris. となると、これから先はわからないが「いまはパリに住んでいる」という意味で一時性が強くなります。
現在: He is so busy these days, because he is writing.
(彼はこのところ書きものをしていて、とても忙しい)過去: He was working in a small factory in those days.
(彼は当時は小さな工場で働いていた)未来: I will be dining alone all next week.
(来週はずっとひとりで食事をしているだろう) - ある時期における反復的動作
たとえば、He always smokes after a meal. は「彼はいつも食後にたばこを吸う」という事実を単に客観的に述べたものにすぎませんが、進行形を用いてHe is always smoking. というと、話者の主観的な感情が加わって、「彼はいつもたばこを吸ってばかりいる」といった意味になります。
なお、この用法では、alwaysのほか、constantly(絶えず)、continually(しきりに)、perpetually(年がら年中)、repeatedly(再三再四)、for ever(永久に)、all the time(その間ずっと)などの副詞(句)がよく併用されます。
現在: The pendulum is constantly swinging left and right.
(振子はたえず左右に振動している)過去: He was perpetually complaining of the business depression.
(彼は年中事業の不振を嘆いていた) - ある時期における動作の発端または起動
終始・開閉・生滅などを示す動詞を進行形にすることによって、その動作が始まっていることを表すことができます。
現在: The patient is dying. (病人は死にかかっている) 過去: The paint was beginning to come off in places.
(ペンキがところどころはげかかってきた) - 近い将来の予定された動作
確定した近い将来、あるいは未来の予定行動を表すには、現在時制、未来時制のほか、進行時制を用いることもできます。
現在: I am afraid I must be leaving〔must leave〕you.
(もうおいとまします)過去: She was going away, but I stopped her.
(彼女は出て行こうとしたが、私がとめた)未来: I will be seeing her again before long.
(私は近々彼女にまた会う予定です) - 同時に生じた2つの動作
2つの動作が同時に起きたことを示す場合には、両方に進行形が用いられます。ふつうwhen、while、asなどの接続詞で導かれます。
現在: When an idle man is doing nothing, probably he is doing some mischief.
(怠け者は仕事がないとよからぬことをするものだ)過去: What were you doing while this was happening?
(このことが起きている間、何をしていたのですか) - ある基準時まで継続している動作 - 進行形完了時制
現在・過去・未来の一定の時において、ある動作がそれ以前から継続していることを表すには進行時制が用いられます。
これには基準となる時点に応じて、現在完了進行形・過去完了進行形・未来完了進行形の3種があります。
この時制には、since(~以来)、for(~の間)、until(~まで)などで導かれる副詞句(節)が多く用いられます。
現在完了: I have been working since eight o’clock.
(私は8時からずっと働いている)過去完了: I had been reading until that time.
(私はその時間までずっと読書していた)未来完了: I will have been learning English for ten years by the end of next month.
(来月一杯で10年間英語を学んできたことになる)
【注意】動詞によって(たとえば、live、stayなど)、現在完了形と現在完了進行形の両方をとることができます。- I have lived in Tokyo for ten years.
- I have been living in Tokyo for ten years.
1、2ともに「私は10年来東京に住んでいる」という意味ですが、2のほうが生き生きとして、感情的な色合いが濃く、「これからも住み続ける」といった継続的な意味が強くなります。
ただし、現在完了進行形がつねに将来の継続を含むとはかぎらず、継続していた動作が現在の直前で終わった場合にも用いられます。
“What have you been doing?” “Well, I have been making a business report.”
(「何をしていたんだね」 「うん、営業報告書を作っていたんだ」)
- 注意すべき用法 - 例外的に進行形をとる場合
「現在時制」の項でも触れましたが、be、haveや継続的な状態を示す動詞、知覚動詞、心理状態を表す動詞などはふつう進行形はつくりませんが、次のような場合には進行形を用いることもできます。- be: 一時的・瞬間的な状態を強調するとき、および受動態の中で用いられるとき
I was being watched by someone. (私はだれかに監視されていた) - have: 「所有」以外の意味を表すとき、および使役動詞(「~させる」)として用いられるとき
They are having lunch at a restaurant.
(彼らはレストランで昼食を食べています)
I am now having the parts shipped from America.
(アメリカから部品を送らせているところです) - 継続的な状態を示す動詞(live、sit、stand、lieなど):一時的な状態を強調したいとき、および感情的に生き生きとした描写をしたいとき
Three armed policemen were standing in front of the door.
(3人の武装警官がドアの前に立っていた)
He was out late last night, and is still lying in bed.
(彼は昨夜遅く外出していたので、まだ寝ている) - 知覚動詞(see、hear、feel、smellなど):「見える」「聞こえる」「感じる」「匂う」などの受動的な意味を失って、「見物・面会する」「聴講する」「さわる」「嗅ぐ」などの能動的な意味を表すとき
I am seeing no one today. (本日面会一切おことわり)
He is hearing a lecture on computer software.
(彼はコンピュータ・ソフトウェアの講義を聞いている) - 心理状態を表す動詞(like、hate、know、think、wish、hope、forget、rememberなど):反復的・習慣的な動作を表すとき、および語調を和らげようとするとき
I was just thinking about consumer reaction to our products.
(当社の製品に対する消費者の反応について思案していたところでした)
I am hoping to see you again.
(またお目にかかれますよう願っています)
- be: 一時的・瞬間的な状態を強調するとき、および受動態の中で用いられるとき